【国産車エンジニアが語る】スバルがグローバルプラットフォームを開発した訳

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先日、スバルが「スバル グローバルプラットフォーム」と名付けた新しい車台(プラットフォーム)を発表しました。

スバルは、この新しいプラットフォームを、今後全ての車に適用していくと発表しています。

スバル グローバルプラットフォーム

スバル グローバルプラットフォーム

富士重工業 次世代プラットフォーム
「SUBARU GLOBAL PLATFORM(スバルグローバルプラットフォーム)」を初公開
~スバル史上最高レベルの総合性能進化を実現~(富士重工業)
スバル、SGPこと次世代プラットフォーム「SUBARU GLOBAL PLATFORM(スバルグローバルプラットフォーム)」初公開(CarWatch)

同様に、先日スズキが発表した小型車「バレーノ」は、スズキが新たに開発した新プラットフォームが採用されました。
この新しいプラットフォームは、今後スイフトやSX4にも適用されると言います。

新しいプラットフォームを採用したバレーノ

新しいプラットフォームを採用したバレーノ

スズキ、次世代軽量プラットフォーム採用の「バレーノ」をワールドプレミア(CarWatch)
今後のスズキ車に採用されていく次世代軽量プラットフォーム(NIKKEI TRENDY NET)

さらに、トヨタは、先日発売されたプリウスから、TNGAと呼ばれる新しいプラットフォーム構想が適用され、今後発売される全ての車にそのTNGAが採用されるそうです。

TNGAを採用した新型プリウス

TNGAを採用した新型プリウス

Toyota New Global Architecture

これらのメーカー以外にも、マツダのスカイアクティブや、日産のCMF、フォルクスワーゲンのMQBなど、新しい統一プラットフォームコンセプトを基に、これまでの車作りの形を見直そうとする動きが多く見てとれます。

では、一体どうして、各自動車メーカーは、ここにきて、新プラットフォーム開発に取り組み、これまでの車作りを見直そうとしてるのでしょうか?

今日は、そんな現在自動車メーカーに起きている大きな変化の理由を一緒に考えていきたいと思います。

自動車会社を取り巻く法規制の変化

自動車会社に対する世界各国の法規制は、年々厳しくなってきています。

例えば、ヨーロッパにおいては、販売する車のCO2排出量を厳しく管理しています。

また、アメリカでは、企業平均燃費(1つの会社が販売する全ての車の平均燃費)が、あるボーダーを超えた場合、そのメーカーに厳しい罰金を設けています。

これらの法規制の厳格化に対応するため、各メーカーは膨大な開発費をかけて、クリーンディーゼルやダウンサイジングターボエンジン、HEV、PHEV、EV、燃料電池車などの環境対応技術の開発に取り組んでいるのです。

日産リーフとトヨタ ミライ

日産リーフとトヨタ ミライ

市場ニーズの変化

さらに近年は、車の安全性へのニーズが高まっており、バックビューモニターや、衝突回避システムなど、従来高級車にしかついていなかったような装備が一般の車から軽自動車にまで求められるようになりました。

ダイハツのスマートアシスト

ダイハツのスマートアシスト

しかし実は、これらの法規制の厳格化や市場ニーズの変化には、従来の開発の仕方では、対応することが難しいのです。

従来の車作り

これまで、新型車を開発しようとした場合、まず開発の出発点として考えるのは、前型モデルでした。

前型モデルに対して、市場から改善ニーズがある部分に関しては、新たに設計・開発を行ない、新しい部品に更新します。

また、世の中の技術トレンドであったり、法規制の変化により、追加しなければならない部品やシステムがある場合は、それらを追加します。

しかし、そのような開発の仕方では、同じ法規制に対応するための技術でも、車種毎の開発が必要になってきてしまいます。

さらに、車種毎に新たな部品を開発・設計するため、部品コストは高くなってしまいます。
(当然今まで必要のなかった部品を追加するわけですから、その分車の原価も高くなってしまいます。)

FullSizeRender

各社が統一プラットフォームを開発する理由

そこで、登場したのが、統一プラットフォームという考え方です。

これまで別々のプラットフォームで作っていた、いくつかの車種を、同じプラットフォームで作ることにしたのです。

そうすることで、部品も同じものを使うことができ、様々な法規制や市場ニーズに対する開発も、車種毎に個別に行なう必要はなくなりました。

それによって、開発費や部品コストを安く抑えることができるようになったのです。

開発費や部品コストが安くなった分、先進アイテムを追加したり、法規制対応で新たなエンジン開発を行なっても、車の原価は上がることはありません。

これが、今各社が競って統一プラットフォームを開発している理由なのです。

FullSizeRender (1)

フォルクスワーゲンの例

このような考え方を最初に取り入れたのが、色々と世間を騒がせたあのフォルクスワーゲンです。

実際、フォルクスワーゲンは、ハッチバック車「ゴルフ」、ステーションワゴン「ゴルフ・ヴァリアント」、セダン「パサート」、アウディのA3、シュコダのオクタビアなどを全てMQBと呼ばれる同一プラットフォームで作っています。

ゴルフ

ゴルフ

ゴルフ ヴァリアント

ゴルフ ヴァリアント

パサート

パサート

Audi A3

Audi A3

シュコダ オクタビア

シュコダ オクタビア

スバルのグローバルプラットフォーム

冒頭でもご説明したように、スバルに関しては、今後全ての車を1つのグローバルプラットフォームで作ると発表しています。

つまりは、インプレッサやレガシィだけでなく、SUVのフォレスターや、今後投入される電気自動車までもを1つのプラットフォームで作るというのです。

たった1つのプラットフォームですべての車をカバーするというのは、今のところスバルだけです。
幅広いカーラインナップを持たないスバルだからこそできることなのかもしれません。
ただ、確実に開発効率は従来の数倍にまで改善するはずです。

インプレッサ

インプレッサ

レガシー

レガシー

フォレスター

フォレスター

いかがでしたでしょうか。
今日は自動車メーカーで起きている大きなトレンドである、投入プラットフォーム化の理由と背景を考えてみました。

車の価格が変わらずに、新たな技術が搭載されるのは、一般ユーザーからも大歓迎だと思いますが、プラットフォームや部品を統一することで、車のキャラクターがつまらないものになってしまうのではないかという心配の声もよく聞かれます。

その辺りをどう解決していくのかが、これから各メーカーが取り組むべき課題なのかもしれません。

まとめ

・従来の車作りでは、車種毎に個別開発が必要となるため、開発費や部品コストの観点から、法規制や市場ニーズの変化に対応するのが難しい。
・各自動車メーカーは、統一プラットフォームを採用し、いくつかの車種をまとめて開発することで、開発の効率化や部品コストの低減を図っている。
・同じプラットフォームや部品を使いながらも、車種毎のキャラクターをいかに出していくのかが今後の課題となる。

永田カーティン

永田カーティン

投稿者プロフィール

車好きサラリーマン。
かつて自動車エンジニアとして働いていた経験を基に車に関する面白情報を紹介する。

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