
今年のパリモーターショーで、新型シビックタイプRが発表されました。
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「あれ?確かシビックタイプRって、去年日本で750台限定で発売されて話題になったばかりなのに、もう新型が出るの?」
と思う人も多いのではないでしょうか。
昨年日本で発売されたシビックタイプRは、ヨーロッパで2015年に発売されたものです。
今回パリモーターショーで発表されたシビックタイプRは2017年に発売されるといいます。
現在のシビックタイプRが販売される期間は、なんとたった2年という短さ。
平均的な車のモデルチェンジスパンは5年ですから、この2年というスパンがかなり短いことがわかります。
では、なぜホンダはこんなにも早く新型シビックタイプRを投入するのでしょうか?
2つの異なるシビックとは?
実は、これまで2つの全く異なる車が「シビック」という同じ名前で販売されていました。
1つは、アメリカを中心に販売されていたシビック。
そして、もう1つはヨーロッパを中心に販売されていたシビックです。
これらは、同じCセグメントのハッチバック(アメリカにはセダンタイプもあります。)でありながら、全く違うプラットフォームを使い、全く違うコンセプトで作られていました。
しかし、当然同じようなタイプの車を、販売する地域違いで2種類も作るのは、効率が悪るすぎます。
そこで、アメリカで新型シビックを発売したこのタイミングで、ヨーロッパのシビックとアメリカのシビックを統合しようとしたのだと考えられます。
これまで全く別々に開発されていた2つのシビックは、当然開発のタイミングも異なります。
よって、その開発タイミングの違いが、モデルチェンジスパン2年という歪みを生じさせたのではないでしょうか。
アメリカシビックをベースとしたシビックタイプR
今回パリモーターショーで発表されたシビックタイプRは、昨年フルモデルチェンジされたアメリカのシビックをベースとしています。
サイズは、全長4415mmx全幅1800mmx全高1452mmと、現在ヨーロッパで販売されているシビックタイプRに対して、全長は130mm長く全幅は30mm広く全高は20mm低くなっています。
市場によってニーズが違う
ヨーロッパとアメリカでは、多少車に対するニーズが異なります。
道が狭いヨーロッパでは、コンパクトで小回りの利く車が求められる一方で、広大な土地を持つアメリカでは、より幅広で全高が低くい車が求められます。
そんな市場ニーズの異なる2つの市場で、同一車を展開することが吉と出るか凶と出るか。
これはホンダにとって、1つの大きなチャレンジと言えるかもしれません。
今の自動車業界の状況を映すホンダの戦略
どのメーカーでも現在積極的にプラットフォームや部品の共通化に取り組んでいますが、ホンダはこれについては1歩遅れをとっているような状況でした。
ただ、だからこそ、車種最適、市場最適で魅力的な車を作れていたのだという印象があります。
ただ、今回のアメリカ、ヨーロッパシビックの統合は、そんなホンダでさえも共通化を考えなければ生き残れないという自動車業界の状況を映しているのかもしれません。